会長や社長など、その会社の代表者や経営者、トップに立つ方がお亡くなりになられた場合、社葬が行われることがあります。
社葬は会社が組織として葬儀を取り仕切るもので、葬儀にかかる費用のうち適正だと認められるものは経費に計上され、損金処理されます。
社葬の場合は弔問を受ける喪主と葬儀を実施する施主が分かれており、喪主には遺族の代表者、施主には会社がなります。
また葬儀を取り仕切る葬儀委員長は会社の代表者が務めます。
喪主、施主、葬儀委員長が協力し合うことが、社葬を滞りなく行うためには必要です。
目次
社葬は遺骨にしてから実施!通常の葬儀との流れの違い
社葬は関係会社関係者や取引会社関係者など、多くの方を招いて実施されます。
来賓者を決定するだけでも相当の時間がかかり、また準備にも多くの日数を要します。
通常の葬儀の場合は遺体のままで通夜や告別式を行い、火葬するのはこれらの葬儀が行われた後になります。
しかし社葬の場合は遺体のままで社葬当日まで安置しておくことはできません。
そのため先に仮通夜や通夜、密葬などを行い、遺骨とした状態で社葬を迎えます。
密葬の代わりに通常の葬儀を行い、そのあとにあらためて社葬を行う場合もあります。
通夜を省略して社葬通夜とすることもあり、流れはケースバイケースになっています。
また仏教式で行われるのか、キリスト教式で行われるのか、それとも他の宗教形式で行われるかによっても、流れは変わります。
最近は参列者の宗教が多様化しているため、違いがあることに対して対応できない人が出ないようにと無宗教形式で社葬が行われることも多くなってきています。
また社葬には故人の死を悲しみ、哀悼の気持ちを持ってお見送りするとともに、生前の活躍や残した業績などを振り返り、感謝するという意味や目的があります。
またその会社の基盤が強固であること、従業員の結束が固いものであること、そしてトップの死を乗り越えて今後も発展を続けていくことを対外的に広くアピールするという目的もあります。
そのため社葬の場合は形式的なものが重視され、故人の死に対して悲しみや哀悼の気持ちが軽視されることもしばしばあります。
しかし形式はどうであれ葬儀であることには変わりありません。
社葬に参列する場合でも他の葬儀に参列するときと同じように、マナーを守り、礼儀を欠かさないように気をつけましょう。
喪主は誰がやるの?社葬の喪主、施主、葬儀実行委員長とは?
葬儀の主催者として取り仕切る人は施主、参列者の弔問を受ける人は喪主と呼ばれ、通常の葬儀の場合、施主と喪主は同一人物となっています。
施主は葬儀実施者として、費用も負担します。
しかし社葬の場合は喪主と施主は違う人物となり、さらに葬儀委員長も必要となります。
喪主は通常の葬儀と同じように弔問を受ける、遺族がなります。
施主は葬儀を実施する会社、そして葬儀委員長は会社の代表者が務めます。
社葬の場合は規模が大きいため、通常の葬儀とは比較にならないほどのやらなければならないことがあります。
あらかじめ規定を作ったり専門的な知識を持つコンサルタントなどに依頼をしたりといったことが必要です。
社葬の費用を払うのは誰?社葬にかかる大まかな費用と負担先の決め方
通常の葬儀ではなく社葬とすると、多額の費用がかかります。
たくさんの参列者を招くことによるもので、参列者が増えるとそれだけ多くの返礼品を用意しなければならなくなり、また会場費などもそれなりの金額になることによるものです。
高額になる社葬費用のうち適正部分は、税法上において福利厚生費という経費とすることができます。
経費とすることが認められると、その金額部分対するに法人税課税がまぬがれることになります。
しかし経費とすることが認められるのは社会通念と照らし合わせて相当と認められる範囲のみであり、度を越しての高額な出費は経費とすることは認められていません。
経費として計上できる金額の範囲は亡くなられた方の会社に対する貢献度や死亡の理由が業務上のものであるかどうかによって異なります。
経費として認められる範囲を超えての支出については、亡くなられた方に対する退職金の一部や慰労金などとして処理することになります。
社葬で遺族がするのは挨拶だけ?社葬での遺族の立ち位置
通常の葬儀では弔問を受ける喪主が施主として葬儀を行いますが、社葬では違います。
会社が施主、代表者が葬儀委員長となり、社葬を取り仕切ります。
だからといって喪主は何もしなくてもいいというわけではありません。
喪主は社葬の参列者からのお悔やみの言葉に対し、返礼をするという役割をする必要があります。
社葬には大勢の方が参列し、大企業のトップの社葬ともなれば1,000人を超します。
社葬のなかで行われる喪主の挨拶は、たくさんの参列者から弔問を受けたことに対して感謝の意を表す、大切な挨拶となります。
また社葬にかかった費用のなかで、遺族が負担しなければならない費用もあります。
戒名料やお墓にかかった費用、初七日や四十九日の費用がこれにあたります。