年金は2か月分が翌月に支給されるため、故人に支給されるべき年金が支給されないままになってしまうことがあります。
この未支給年金は受け取ることができる遺族が請求することによって、その遺族に支給されます。
相続財産ではないので相続放棄していても受け取ることができ、時効になる5年のあいだ、いつでも請求が可能です。
目次
未支給年金の受取人の範囲とは?
故人が公的年金を受け取っていた場合には、年金受給権者死亡届を提出する必要があります。
この年金受給権者死亡届は故人が亡くなったことにより年金の支給を止めるためにする届け出ですが、この届け出といっしょに提出されるべき書類として未支給年金請求書という書類があります。
未支給年金請求書は故人が受け取ることができるはずだった年金を、遺族が代わって受け取るために提出する書類です。
公的年金は2月、4月、6月、8月、10月、12月といった偶数月の15日に、年金受給者が指定した銀行口座に振り込まれます。
2か月に1度の支給で、前々月分と前月分の2か月分の年金が偶数月の振込日に支払われることになります。
後払いとなっているため故人がお亡くなりになった時点でまだ支給されていない年金があるのが通常で、この年金のことを未支給年金といいます。
未支給年金は故人の遺族が、遺族の名前で支給を申請することによって受け取ることができます。
未支給年金の受取人となれる遺族の範囲は、配偶者、子供、父親・母親、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他の3親等内の親族です。
故人と生計を同一にしていたことが条件となり、故人といっしょに生活していなかった場合は第三者が署名した生計同一関係証明書を添えて申請することが必要です。
順位も配偶者、子供、父親・母親、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他の3親等内の親族の順番とされており、先のもっとも順位の高い一人に対して未支給年金は支給されます。
提出先は未支給となっている年金が国民年金の場合は市町村の役所、厚生年金保険や船員保険、共済年金の場合は年金事務所や年金相談センター、共済組合などとなっています。
未支給年金の受け取り期間は5年間!5年を過ぎると時効になってしまうので要注意
未支給年金を受け取ることができる期間は5年と定められており、この期間であればいつでも未支給年金を請求することができます。
ただし5年を過ぎると時効により、未支給年金を受け取ることができる権利は消滅してしまいます。
故人に支給されるはずだった日の翌月の初日から、時効のカウントが開始されます。
ただし未支給年金を請求できなかったことについて、やむをえない事情があった場合は、時効は成立しません。
この場合は理由を記した書面を提出して、申し立てを行うことが必要です。
相続財産ではなく相続放棄しても関係なし!未支給年金は受け取ることができる人の所得になる
未支給年金は受け取ることができる第一優先順位者が、自分の名前で請求して支給を受けます。
そのため故人の財産ではなく、未支給年金を受け取ることができる人の所得として扱われます。
故人の相続財産ではないため遺産分割の対象とはならず、相続税の課税対象にもなりません。
相続ではないので未支給年金を受け取ることができる遺族が相続放棄をしていたとしても関係なく受け取ることができます。
故人が亡くなった日時や年金受給権者死亡届提出のタイミングによっては、未支給年金が故人が年金の受取に使用していた故人名義の銀行口座に振り込まれてしまう場合があります。
このような場合、未支給年金を受け取ることができる遺族にこの部分の金額が渡されます。
未支給年金を受け取ることができる遺族でない者が勝手に引き出したり、相続財産としたりすることは認められていないので注意しましょう。